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1.ひとりごと

日本経済復興のシナリオ?

「日本の製造業は戦後、石油ショックを皮切りとする幾多の危機を乗り越え、そのたびに強くなってきた。そして今年3月の東日本大震災でも多くの企業が被災し、窮地に陥っている。過去の「ニッポン神話」を再現し、復活に向けて歩き出すために今、何が求められているのだろうか」 日経新聞のある記事だ。
幾多の危機を乗り越えてきた日本経済は、今度の震災でも乗り越えられるということを言いたいために連載を組んでいるようだ。確かに敗戦からもオイルショックからも日本経済は乗り越えてきた。しかし、何か忘れてはいませんか?
そのときの外部要因ですよ。世界経済の動きですよ。敗戦後の日本は、自力で経済を復興させたのではありません。現実を直視しましょう。敗戦後、日本が急激に経済を復興させることができたのは、朝鮮戦争が起こり、朝鮮戦争特需が発生したからです。ある書籍には、このように書いてある。
「朝鮮戦争特需でトヨタのトラックが飛ぶように売れた」
「ソニーは電波探知機の需要が急増。昭和21年に利益2千円から25年に480万円に」
つまり、このように経済を引っ張る外部要因があったのです。では、お聞きしますが、現在日本経済を引っ張るような外部要因はありますか?
別の角度からお聞きします。現在の世界経済は、1上昇基調、2停滞、3下降基調の3パターンに分けるとしたら、どれでしょうか? 間違いなく2の停滞、そして、現在は3の下降基調になるのでは、という懸念がたくさんあるのです。
EUでは3ヶ国も財政危機に陥っています。アメリカではQE2の出口戦略がどうなるかに注目が集まっています。少なくとも、現時点では1の上昇基調の見込みはないのです。
この外部要因を全く無視して日本経済復興のシナリオを描く? 日本はもう鎖国をしている国ではないので、外部要因を無視して、国内の要因だけで考え結論を出すことが、いかにおバカなことか考えてみましょう。
「希望を持ってはいけないのか?」という声が聞こえてきそうですが、希望的観点で物事を誤って判断し、行動すればどうなるのか? 多大な犠牲を払うことになります。それは太平洋戦争の敗戦が証明しています。

2011.05.31

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